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まずは国が進めている事業で、蓄電池の設置費用に対する補助金があります。
この補助事業の正式名称は令和3年度 蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金(再生可能エネルギー発電等のアグリゲーション技術実証事業のうち分散型エネルギーリソースの更なる活用に向けた実証事業)というもの。
単純にDER補助金と呼ばれることが多いですね。
この補助金の趣旨としては、DER(分散型エネルギーリソース)を進めるため。
電力を大規模な発電所に頼るのではなく、家庭・事業所などで発電・蓄電を行うことで電力を安定供給できるというメリットがあるのです。
蓄電池等の分散型エネルギーリソース(以下、「DER」という。)は、需給ひっ迫時の一般送配電事業者によるディマンドリスポンスへの活用等の実績が出てきており、今後は平時も含め、更なる活用機会の拡大が期待される。
また、現状の固定価格買取制度(以下、「FIT制度」という。)に加え、2022年度より導入が予定されている市場連動型のFeed-in Premium 制度(以下、「FIP制度」という。)等を踏まえ、太陽光発電等の再生可能エネルギーの更なる活用に向けた取り組み拡大や技術向上が必要となる。
本事業では、DERの更なる活用に向け、今後の電力取引市場等を見据えた蓄電池やエネファーム等からの逆潮流・周波数調整機能等の活用や、稼働状況把握のためのIoT化の実証を行うことで、DERを活用した安定かつ効率的な電力システムの構築と、再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを目的とする。引用元:公募要領
また太陽光などの再生可能エネルギーを効率よく利用できるので、温室効果ガス削減にも効果があると期待されています。
このDER補助金の申請ができる方は、
という2パターンが考えられます。
HEMSとは「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略で、家庭で利用する電力などのエネルギーを管理するもの。
家電や電気設備とつないで、電気やガスなどの使用量をモニター画面などで「見える化」したり、家電機器を「自動制御」したりします。 政府は2030年までに全ての住まいにHEMSを設置することを目指しています
引用元:HEMSとは? | HEMS | Panasonic
太陽光発電や蓄電池をHEMSで制御することで、効率良く創エネ・省エネが実現できるわけですね。
このDER補助金を受けるには、最終的に太陽光発電システム・蓄電池・HEMSの3点が揃っていることが必要です。
太陽光発電について詳しくは、以下のサイトからどうぞ。
DER補助金の補助金額について、下記の通り公募要領から抜き出してみました。
-公募要領より引用-
家庭用蓄電池の場合、補助率は対象費用の1/3、上限額はkWhあたり4万円とされています。
〜パワーステーションS+ | 創蓄連携システム | 蓄電システム | 太陽光発電・蓄電システム | 住まいの設備と建材 | Panasonicより引用〜
上記のパナソニック「パワーステーションS+」を例にとって、補助上限額を計算してみました。
容量(kWh) | 補助上限額 |
---|---|
3.5 | 14.0万円 |
5.6 | 22.4万円 |
7.0 | 28.0万円 |
9.1 | 36.4万円 |
11.2 | 44.8万円 |
小さい容量でも20万円前後の補助金が受け取れそうですね。
加えてHEMSの導入を対象として、最大10万円の補助額が追加されます。
DER補助金の公募期間は以下の通り。
2021年4月9日(金)〜2021年12月24日(金) 12:00 必着
ただ予定されている予算額に達し次第、早期に終了することもあるので注意が必要です。
DER補助金の手続きは、自分で行うわけではありません。
リソースアグリゲーター(販売店)による代行申請となります。
申請後にSIIから交付決定通知書が来てから、実際に契約・設置工事という流れになりますね。
前段の国によるDER補助金の他に、お住まいの自治体ごとに補助制度が設けられている場合があります。
太陽光発電システムや蓄電池は自治体にもメリットが多いので、地方部でも導入を推進しているケースがあります。
また自治体による補助金はDER補助金とは別の扱いになるので、併用することが可能。
ダブルで補助を受けられるというわけです。
蓄電池を導入するなら、ぜひ知っておきたい制度ですね。
ここでは都道府県・市町村ごとの補助金をまとめていますので、参考にしてください。
実際に自治体の補助金を併用するとどれくらい安くなるのか、実例を挙げてみましょう。
東京都で進めている令和3年度自家消費プラン(蓄電池導入への補助事業)での補助額は以下の通り。
kWhあたり7万円(1戸あたりの上限42万円)
したがって国DER補助金と都の補助金が共に満額もらえると仮定すると、合計の補助金額は下表のとおり。
容量(kWh) | 補助上限額 |
---|---|
3.5 | 38.5万円 |
5.6 | 61.6万円 |
7.0 | 77.0万円 |
9.1 | 100.1万円 |
11.2 | 123.2万円 |
先ほどのDER単体での補助金額と比較すると、かなり上がっていることがおわかりでしょう。
家庭向けの蓄電池は、まだそれほど普及しているわけではありません。
蓄電池に関して情報がまだ少ないので、導入を不安に思っているかもしれませんね。
ここではよく寄せられる疑問・質問をまとめています。
すでに太陽光発電システムを導入している人なら、固定価格買取制度が10年で終了するという話は聞いたことがあるでしょう。
2009年から余剰電力買取制度により、住宅の太陽光発電から発生した余剰電力を電力会社に売るときに、売電価格に賦課金を上乗せしていました。
この賦課金は太陽光発電システムを設置してから10年間で終了してしまいます。
したがって2011年9月に太陽光発電を始めたお宅では、2021年10月から売電価格が下がってしまうわけです。
太陽光発電のメリットである売電収入が減ってしまうわけですね。
この固定価格買取制度が終わったあとに、どうすればよいのでしょうか?
1.の従来どおり売電するについては、以前のように高い単価は期待できません。
したがってオススメしたいのは、2.の自家消費です。
自家消費することによって自宅の電気料金節約になると同時に、災害時の電源確保などのメリットがあるのです。
蓄電池はまだ新しい技術なので、まだ導入費用は高額です。
例えば普及タイプの長州産業「Smart PV」を例にとってみると、機器代金255万円。
工事費用や消費税を含めると300万円を超えてしまいます。
ただ前段の補助金を組み合わせることで、かなり費用を抑えることが可能です。
またDER補助金では下図のとおり目標価格というものが設定されています。
〜R3DER_kouboyouryou.pdfより引用〜
これによると機器代金や設置工事費込みで、kWhあたり16.5万円以内に抑えることが求められています。
例に上げたSmart PVは蓄電容量6.5kWhなので、目標価格は107.25万円。
販売店に値引き交渉することで、より価格を下げることもできそうですね。